2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

戀の歌とジェンダー

戀の歌は、相聞(あひぎこえ・さうもん)と稱へた『萬葉集』(八世紀後半成立)の昔から女性に優れた作が多いと言はれてをり、中でも小野小町(をののこまち)と和泉式部は名手の譽れが高い。 いとせめて戀しきときは烏羽玉(うばたま)の夜の衣を返してぞ着…

レニエよ甦れ――レニエと明治大正の作家たち

歐羅巴の十九世紀末、遠い異邦の百數十年前のこととなると聊か杳(はるか)な思ひに捉はれるものの、其處に日本人の姿を見かけるとき、其の景色が一擧に身近なものと觀ぜられてくる。たとへばルートヴィヒⅡ世がシュタルンベルク湖に於いて謎の死を遂げた當日…