猫拾景
★寫眞だけでは寂しいので、我が愛誦歌人葛原妙子さんのお歌の中から
猫にかゝはる詠草を抽いてお目にかけます。
足もとにすわりてうごかぬ黒猫はねむれる黒き梟(ふくろふ)となる
猫は庭をみる針の目に ゆめのやうなるいきものとなりて
耳裂きてかへりこし猫のよこたはる雪のごとくに苦しまず死ね
近づきし猫漠々と白かりき目鼻いづれとみえがたきまで
猫などが立ちあがるときみるみるに人間よりも巨(おほ)きかりけり
さくらばな咲きしときこゆ猫よりも怠(おこた)りふかき目をわれは擧ぐ
鳥まんだら 猫まんだらは寄りきたるわがふところの明(あか)きときしも
白夏至の家といふべくひそみゐる猫のゆきかひ人のゆきかひ
琥珀だまめきたる片目のまろびいでねむりこけたる青猫るうるう