もう女郎花が……

 盛夏の土用と申すのに、女郎花(ヲミナヘシ)が咲いてゐます。東京では五月末になると早くも秋の七草に數へられる瞿麥(ナデシコ、川原撫子)や桔梗が咲き始めますが、女郎花が咲いてゐるのは見た覺えがありません。A-coopの切花賣場で見た時は室咲(むろざき)かと思つたのですが、近所の畑つまり露地でも咲いてゐるのを確認しました。一本だけ眺めると儚い風情ですが、群落になると華麗に映ります。葛原妙子さんの女郎花の歌を二首、抄いておきます。黄色の小花を繖形(衣笠状)に簇生する此の花の形状を確(しか)と捉へてゐる詠草ですね。

 砂金のごとく陽にきらめけるをみなへし心貧しくみるべきあらず
 をみなへしの微粒きらめく晝あるのみ めぐり災厄のごとく人ゐぬ

女郎花

露地の女郎花

 近所で見かけた夏花の畫像も少し。百合はいづれハイブリットでせうが、立ち姿には西洋の圖版に見るマドンナリリーの面影が立ち添ひます。萓草(クワンザウ)は「わすれぐさ」といふ和名の方が佳いですね。ついでに卓上の花も。

ますます猛々しい空家の凌霄花

花筒の内が仄かに黄を帶びた百合

これも夏花の木槿ムクゲ

用水路脇の斑(ふ)が美しい矢筈薄(鷹の羽薄)

藪萓草(ヤブクワンザウ)

今朝の卓上