晩夏の花
晝間はまだ30度を超える日もありますが、朝晩はかなり過ごしやすくなりました。隣地の水田では稻穗が出て花を咲かせ、其の傍らでは澤瀉(オモダカ、面高)が白い花をつけてゐます。澤瀉は家紋にもなつてゐて(歌舞伎の市川猿之助一門の家紋は澤瀉で屋號も澤瀉屋)、風情のある水草ですが、稻作にとつては田を荒らす雜草であり、〈田の草〉として驅除されてしまひます。人面に似た葉を高々と伸ばすところから〈面高〉と表記したのだといふ説もあります。
駐車場の一隅では、今年も夏水仙が咲いてゐます。リコリス類すなはち彼岸花の仲間はだいたい秋の彼岸(新暦の九月半ばから月末)に咲くのですが、狐剃刀(キツネノカミソリ)と此の夏水仙は其の魁(さきがけ)として八月半ば過ぎに咲き始めるのであります。御存じでせうが、曼珠沙華の仲間は秋に花莖を伸ばして華麗なる花をつけますが、葉が出るのは晩秋か早春であります。
夏水仙
手活けの花に