郭公飛來

 早朝、郭公(クワクコウ)の初音を聽きました。
 外廊下に出てみると、目前の電線に二羽、少し大きめの雄が頻りに鳴いて雌の氣を惹いて
ゐる樣子、焦(じ)らすやうに彼方此方と飛び廻る雌。數分後、餘所ものの聲を聞きつけて
數羽の尾長が現れ、あの喧しい鳴聲を發しつゝ挑みかゝる樣子、さらに鴉が現れるに至つて、
雌雄の郭公は千曲川の方角に飛び去りました。いづれ河川敷で葭切(ヨシキリ)かなんぞの
巣に托卵して、南の國へ歸つて行くことでせう。

 〇うちしめりあやめぞかをる郭公鳴くや五月(さつき)の雨の夕暮  後京極攝政良經

新古今和歌集』夏の部屈指の秀歌ですが、此の〈郭公〉は〈ほとゝぎす〉に充てた眞名で
あります。而して郭公飛來の此の時期には其れを迎へるかのやうに文目が咲くのであります。

 當地では、牡丹が散つて芍藥が見頃、橡(トチノキ)も咲き始めました。朝顔・風船葛・
茴香などの種子を蒔かねばならないのですが、左膝関節炎が一向に治癒せず、立て膝にて
しやがむ園藝作業が辛くて一日延ばしになつてをります。嗚呼……。

 文目

 芍藥

 橡