白露(はくろ)

唯今二十四節氣は第十五《白露》、今年は八日から秋分の日までの由、
夏至の頃から亞熱帶めく氣候の下(もと)、列島は樣々な天災に見まはれ、息を潜めるやうに
過ごしてきましたが、此の邊りのことに限れば、漸く天候が暦に添うてきた觀があります。
朝顔が縋れ始め、矢筈芒(ヤハズスキ)の鷹の羽模樣もくつきりと映るやうになつてゐます。

 縋れ始めた西洋朝顔

 矢筈芒

朝鮮朝顔も最後の花を咲かせてゐます。所謂(いはゆる)ダチュラの一種ですが、名稱は判りません。
近所の耕作放棄地にぽつんと一株佇んでゐたのを掘り上げて 鉢に移しました。小さな毬栗のやうな
一番花の果實が附いてゐましたが、何とか根づいて二番花か三番花をつけてくれたのであります。
幕末から明治にかけて北米あたりから渡來した歸化植物で各地に傳播自生したやうです。
花は喇叭(ラツパ)型で、エンゼルトランペットなど園藝種には下向きに咲くものが多いやうですが、
これは上向きの白咲きで清楚な觀があります。私には景色の佳い草本と眺められますが、殘念なことに
一日花で、一日半を過ぎると萎んでしまひます。因みに有毒(全草にアルカロイド含有)であります。

 朝鮮朝顔

體調は相變らずで、最近は視力の衰へが進み、鳥目の域に……。
山尾悠子さん、南條竹則さん、柿沼裕朋さんなどから素晴らしい御著作を頂戴してをりますので、
近々、受贈本の紹介も致さうと存じます。

大相撲秋場所は贔屓の力士の成績が揮はず、溜息をつく日々でありますが、今日は鯔背な千代の国が
目の覺めるやうな勝ちっぷりを見せてくれたので、少し氣が霽れました。

  ☆白露(しらつゆ)や死んでゆく日も帶締めて   三橋鷹女『白骨』