墮天使像 Fallen Angel

 墮天使の畫像と申せば、大天使ミカエルに踏みつけられる體(てい)のものが畫題として定着してゐた如くで、ラファエロ・サンツィオ、グイド・レーニ、ルカ・ジョルダーノなどの作品がよく知られてゐます。ギュスターヴ・ドレの『失樂園』なども想ひ起こされますが、これまで見たものの中で最も印象に殘つてゐるのはフランソワ・バーセルミー(Francois Barthelemy Edouard Cibot)の「墮天使」で、初めて目にした際には息を呑みました。決して我が嗜好にかなふ繪ではないのですが、見入らずにはゐられない……。これは1833年に描かれた由、藝術思潮としては浪曼主義が跋扈した時代ですね。作者に就いてはよく知りません。

フランソワ・バーセルミー「墮天使」

参考畫像1:ラファエロ「墮天使を踏みつける大天使ミカエル」

参考畫像2:グイド・レーニ「墮天使を踏みつける大天使ミカエル」

参考畫像3:ギュスターヴ・ドレ『失樂園』より