花と温泉
此の1週間ほど、午前中から氣温が20度を超える暖かさが續いてゐるので、自轉車に乘つて温泉に通つてゐます。温泉と申しても、所謂日歸り温泉施設(公衆浴場・錢湯)で、お客はほゞ地元の人たちと見受けられます。斯樣な施設は、千曲川の此岸(私の住處から見てこちら側)の新戸倉温泉街に4軒、對岸の戸倉上山田温泉街に3軒あります。轉居して來た當時(昨年8月末)は地理不案内ゆゑ、また轉居後半月も經たぬうちに肺炎に罹るなどして、そして晩秋には早や寒波到來……、かゝる次第にて自轉車で温泉へ出かけるなど思ひもよらぬこと、温泉行きは專らMr.Vermilionが車でお出かけの折に便乘させていたゞいたのであります。
さて此の自轉車通湯(?)も、初め此岸の観世温泉や万葉超音波温泉行きで足馴らしをして、然るのちに大正橋や万葉橋を渡つて對岸の〈かめの湯〉や〈つるの湯〉まで足を伸ばしたのであります。〈つるの湯〉は昨秋肺炎を患つた時お世話になつた上山田病院の傍にあり、私の住處からは最も遠いのですが、還暦を越えてゐる私は入湯料金が半額で濟むので、此の數日は此處に通ひ詰めてをります。
染井吉野はそろそろ見納めでせうが、春の花が次々に開花を迎へてゐるので、行き歸りには其の眼福に與(あづ)かりながら、撮影も試みてをります。千曲川の景色も冬の嚴しさを脱して春風駘蕩たる趣と變じつゝあるやうですが、下流遙かに眺められる戸隱連峰は未だ雪を冠つてゐます。樹の花ともども御覽に供します。
新戸倉温泉附近の古き櫻並木