夏の花*凌霄花(ノウゼンカヅラ)

 近所の空き家の門柱から塀いつぱいに凌霄花が蔓を這はせて花を澤山咲かせてゐます。たゞでさへ猛々しい印象の強い花でありますが、手入れがなされてゐないので、一層の迫力が感ぜられます。一日花ゆゑ、次々と散つてゐる筈ですが、いつ見ても滿開の觀があります。
 此れと並ぶ夏花の代表格は向日葵でせうね。畑で栽培されてゐるのを見かけますが、種か油でも採るのでせうか。向日葵の種は栗鼠(リス)の餌に用ひられますが、人が食しても美味しいもので、東京では酒場などでつまみに出してくれる所がありました。
 花ではありませんが、黄緑の毛皮(もうひ)を想はせる箒草(ハゝキグサ)も今が見頃です。箒草は通稱で、ヒユ(漢字が出ません)科バッシア屬の箒木(ハゝキギ)です。以前は藜(あかざ)科コキア屬に分類されてゐたので、今でも園藝店などではコキアの名札を附けて賣つてゐます。秋には鮮やかに紅葉、出羽では實を「とんぶり」「ハハキギの實」と稱して食します。

 凌霄花

 向日葵

 箒草

 何だか、動き出しさうな氣配が……

 紅咲き紫陽花