露臺の蔓草など

 五月の末頃、露臺の手摺りに何か蔓草を絡ませようと思ひ立ち、ホームセンターの種苗賣場で種子を物色しました。結局、朝顔に風船葛(ふうせんかづら)といふ在り來たりの撰擇に落着、芽吹いた苗の中から健やかさうなものをプランターに定植したのですが、それが先月中頃から蔓を伸ばし始めました。日々蔓の誘引に勵んだので、今月に入つて漸く手摺りに匍ひ纏はり何とか恰好がついて來ました。朝顔はまだ莟が膨らみませんが、風船蔓の方は細かな白い花を咲かせて次々と結實、早や緑の小さな風船が澤山、風に搖れてをります。

手摺りに匍ひ纏はる風船蔓と朝顔

結實した風船葛

 此の邊では秋草も咲き始めてをり、市役所戸倉廳舎傍の大正橋通りの両端植ゑ込みでは
女郎花のほか吾亦紅(ワレモコウ)や宮城野萩の花も見られます。彼岸花の仲間で眞先に開花する夏水仙彼岸花彼岸花屬:リコリス スクアミゲラ Lycoris Squamigera)を見つけました。御存じのやうにリコリスの類は或る日唐突に花莖を伸ばし數日後には華麗な花をつけるのですが、葉は見當たらず、秋の末に到つて漸く生え冬中青々と繁つてゐます。8月の末には狐剃刀(キツネノカミソリ)が錆朱色の花を見せ、9月の中頃からお彼岸にかけては眞紅の曼珠沙華や白花曼珠沙華アルビノ)や黄花のオーレア(鍾馗水仙と稱へる地方もあります)、淡紅咲きのスプレンゲリやインカルナータなどが妍を競ふやうに咲くのであります。

女郎花(大正橋西岸、戸倉廳舎脇)

水仙(埴科用水通り、新戸倉温泉邊)

 一季咲きかと勝手に思ひ込んでゐた裏庭の薔薇たちが、私のいゝ加減な剪定にも拘はらず再た咲き始めました。此の分だと九月には〈夏の名殘の薔薇〉も見られさうです。唐菖蒲(グラジオラス)は此れが見納めでせうね。

今朝の卓上生花:夏薔薇

今朝の玄關生花:唐菖蒲と初雪草

 このブログには愚癡の類はあまり記さぬやう心がけてゐるのですが、右膝の調子が中々舊に復さず、不便を託(かこ)つてをります。それから此の半月ほど、矢鱈と器物を取り落として食器や硝子類を割つてしまひます。それも氣に入りのものばかり……。また花瓶やグラスを倒して卓上を水浸しにしたり……。
 立秋とは名ばかりにて、猛暑が續きますね。熱帯夜になることは少ないのですが、晝間はやはり暑いですよ。風が通つても熱風、雷雨が上がつても蒸し暑い……。胡瓜など1本10圓ぐらゐで買へるので、せめてもの消閑と思ひ、淺漬となし朝に夕に食してをります。

 今朝ほど、東京の飯田克比呂さんから、衛星放送からの映畫の録畫をお願ひしておいたDVDが屆きました。「マンク」「フェリーニのカサノヴァ」「赤ずきん」「ミッドナイト・イン・パリ」「世にも怪奇な物語」等々。暑熱の昼下がりは部屋に籠もつて鑑賞いたすつもり。比呂さん、ありがたうございます。