阿部祐輔・黒多弘文展「予言の鳥」
期間:2013年9月12日(木)〜19日(木)12:00〜19:00(15日のみ15:00終了)
場所:奥野ビル306號室*東京都中央區銀座1-9-8
有樂町線《銀座一丁目》10番出口より1分
銀座線《京橋駅》2番出口より4分・《銀座駅》A13番出口より5分
JR山手線《有樂町駅》より6分
〔奥野ビルは昭和7年に「銀座アパート」として建造完成。アパートの竣工から
間もなく、一人の女性が入居して〈スダ美容室〉を開業、昭和60年代に廢業
してからは住居として利用し、平成21年、百歳を以て天壽を全うされた。現在、
306號室は非営利團體「銀座奥野ビル306號室」が借り受け保存活用してゐる。〕
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☆己が舊作に就いて記すのは聊かならず氣が退(ひ)けるのですが、珍しく舊師が褒
めて下さり、また幾人かの方も「佳い」と言つて下さった歌があります。
磨硝子めぐる館に幼年を繭ごもる如(ごと)入りゆく一人
二十代の早い頃に詠んだものですが、ものの文目(あやめ)も定かならぬやうな、
淡き光、烏賊墨色の陰翳の裡(うち)に籠もつて過ごしたい……といふやうな憧憬
にも似た想ひを何とか歌ひ留めたいとした記憶があり、自分でもわりと氣に入つて
ゐる一首であります。
阿部祐輔さんの〈フォトグラビュール〉なる技法による一連の版畫には、私の此の
舊作にまつはる想ひと通ずる處があるやうに觀ぜられます。其の版畫が銀座の古い
ビルの一室に、今日から一週間展示されます。もしお氣が向かれましたら、お運び
下さると嬉しく存じます。
*いま一人の出展者=黒多さんの作品は〈インスタンレーション〉といふ技法による
ものの由です。