晩夏なれど暑し

 窓前の駐車場の敷地では、熟れた無花果に早朝から椋鳥が群がり、梨や柿の實も
膨らんできました。其の邊りの叢では今年生まれの雨蛙(自在に體色を變ずる)が
飛び跳ね、お隣の水田では稻穗が頭(かうべ)を垂れ始めました。颱風が過ぎて再
(ま)た暑熱がぶり返してゐますが、熱帶夜にならぬのが取柄でせうね。

 臺灣の若き日文學者で、私の作品を讀まれて論文などお書きになる劉靈均さん
(現在神戸大學の大學院〈人文学研究科〉に在籍中)が先月末から東京に滯在して
をられます。幾つものお仕事の合間を縫つて明日は態々(わざわざ)信州までお越
し下さるので、暑熱が少しでも収まるといゝのですが……。

 露臺の朝顔

 お隣の水田