蒔蘿・茴香・姫茴香・西洋當歸

 素敵なボタニカル・アートの畫像を見つけました。

 畫家はChristian Friedrich Gille(1805〜99)、實に好もしい植物繪であります。私の好む
芹科の香草であらうと思ひます。思ひ當る候補が4種ほどあるのですが、私には此れと斷定
するほどの能力はありません。

 蒔蘿=イノンド/ジラ, Dil(ディル)芹科蒔蘿屬の一年草、地中海沿岸地方原産。
 茴香=ウイキヤウ, Fennel(フェンネル)芹科茴香屬の多年草、地中海沿岸地方原産。
 姫茴香=ヒメウイキヤウ, Caraway(キャラウェイ)芹科姫茴香屬の二年草、西亞細亞原産。
 西洋當歸=セイヤウタウキ, Angelica(アンジェリカ)芹科猪獨活(シゝウド)屬の多年草
  アルプスやピレネー等の寒冷地に自生してゐたものが歐州諸國に廣まつたといふ。

 蒔蘿と茴香は實際に栽てたことがあります。自ら撮影した寫眞も殘つてをり、其れと比べて
みると、ちよつと違ふやうな氣がします。文獻などに據つて推察するに西洋當歸ではないかと
思はれるのですが、確たる自信はありません。 
 他にもう一種、日本原産(中部以北の山岳に自生)の和當歸(ワタウキ、日本當歸・東當歸
とも。芹科猪獨活屬の多年草。中國原産の唐當歸の近似種)といふものがありますが、此れが
19世紀西洋のボタニカル・アートに描かれたとは思へません。