2018-03-27 忘れえぬ廿世紀後半の櫻歌 詩歌 妙子の櫻さくらばな咲きしときこゆ猫よりも怠りふかき目をわれは擧ぐ薄黄(はくわう)のさくら湖岸に咲きたればまぶたに塗りぬ油一しづくかかるさくらありしとおもへ遠草野「平野夕日」といふ櫻ばな 智惠子の櫻さくらばな陽に泡立つを目守(まも)りゐるこの冥き遊星に人と生まれて夕櫻つひあはざれば夢の書に芽吹けるものの病むごとく在り今日萬朶さくらは殘りたちまちに馭者の座若く風めぐるかな