櫻の開花未だし

 今日は風は強かつたものゝ氣温は上がりました。窓から見える小彼岸櫻が滿開の觀を呈したので、染井吉野もそろそろ綻び始めてゐるかも……と思ひまして、近所の櫻並木まで出かけてみました。莟は膨らんでゐましたが、殘念ながら未だ開花には至つてをりません。 途々(みちみち)見かけた鮮黄色の連翹(レンゲフ)や雪白(せつぱく)の雪柳(ユキヤナギ)など撮影してまゐりましたので、御覽に供します。喇叭水仙は一莖一花の大輪種の寄せ植ゑで、たぶんキングアルフレッドといふ園藝種のナルシスだと思ひます。明日は長野市近邊も22度くらゐになるとか、染井吉野の開花が早まるかも知れませんね。

五十里川の櫻並木は未だ莟

滿開の小彼岸櫻

木蓮も滿開

黄が鮮烈なる連翹

枯草の中に咲いてゐた雪柳

喇叭水仙

古人の櫻花詠の中からとくに好きなものを少し抄いておきます。

 在原業平☆世の中に絶えて櫻の無かりせば春の心はのどけからまし
 紀貫之☆櫻花散りぬる風の名殘には水なき空に浪ぞ立ちける
 和泉式部☆人も見ぬ宿に櫻を植ゑたれば花もてやつす身とぞなりぬる
 藤原俊成☆またや見む交野(かたの)のみ野の櫻狩り花の雪降る春の曙
 式子内親王☆いま櫻咲きぬと見えて薄曇り春に霞める世のけしきかな
 藤原良經☆櫻咲く比良の山風吹くまゝに花になりゆく志賀の浦浪
 後鳥羽院☆みよし野の高嶺の櫻散りにけり嵐も白き春のあけぼの
 永福門院☆吹き拂ふ山の嵐ははげしきに落つる櫻はのどけかりけり