紅葉、黄葉
體力も戻りつゝあるやうなので、近邊の紅葉・黄葉を撮らうと思ひ立つて出かけてみたのですが、先週末の烈しい風雨のせゐで櫻・楓・銀杏などあらかた散つてゐました。それでも、上山田温泉街神樂殿裏にて板塀に這ひまつはる蔦葛(つたかづら)の美しき紅葉を撮ることが出來ました。銀杏も殆ど散り果て、楓に至つては多少殘つてはゐても褐色に變じてをり、撮影意欲をそゝられませんでした。致し方なく、先週の中頃に折り來つて硝子の花器に浮かべておいたものを撮つてみました。
紅葉を詠んだ古歌を少し抄いておきませう。
もみぢ葉の流れて泊まる湊には紅(くれなゐ)深き波や立つらむ 素性法師
色はみな空しきものを龍田川もみぢ流るゝ秋もひとゝき 藤原定家
立田川散らぬ紅葉の影みえてくれなゐ越ゆる瀬々の白波 藤原良經
散りつもる紅葉に橋はうづもれて跡たえはつる秋のふるさと 土御門院
秋霧のむらむら晴るゝたえまより濡れて色濃き山のもみぢ葉 永福門院