【掌編小説集『ショートショートの缶詰』/浦島草】

 田丸雅智さんの編輯に成る『ショートショートの缶詰』が届きました。
 24人の作品を収録、私の掌編「月光浴」も採られてゐます。

 發行所はキノブックス、5月10日發行、
 B6判變型、240頁、定價1400圓(税別)

 田丸さんは〈編者紹介〉欄に【1987年、愛知県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。
2011年、『物語のルミナリエ』(光文社文庫)に「桜」が掲載され作家デビュー。……】とあります。
私より、えーと、41歳も若くていらつしやるのですね。自作を載せないといふ御見識に感服しました。
私が20代を迎へ1960年代後半には《ショートショート》がまだ在で、私も「ミステリマガジン」とか
話の特集」などに掌編を寄せ、「月光浴」は原宿表參道に在つたブティックのPR誌の需めに應じて
書いたもので、插繪は金子國羲さんでした。


 
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 東京から越して來た際に露臺の植物は知友に引き受けていたゞくなどして大方處分したのですが、
氣に入りのものを3鉢だけ持つて來ました。其の一つは浦島草の鉢で、3年半餘も植ゑ替へしなかつた
にもかゝはらず今年も芽を出し、小さいながらも佛焔苞をつけてくれたので、お目にかけます。ついでに
載せたのはディル(和名はイノンド)、茴香(ういきやう=フェンネル)によく似た芹科の一年草です。
草丈一米に及ぶ香草、魚や鶏の料理に添へて食してゐます。
 浦島草と菫