冬の柑橘/春の兆し

【冬の柑橘】
 冬の柑橘と申せば温州蜜柑、四半世紀ばかり前から他にも種々の交配品種が出廻るやうに
なりましたが、私は15年ほど前からスウィーティーといふ渡來種を好んで食してゐます。
 1950年代に米國カリフォルニア大學の柑橘類研究所で造り出された、グレープフルーツと
文旦(ブンタン)の交配種ださうです。其の後、濠州(オーストラリア)や以斯來(イスラ
エル)でも栽培されてゐます。
 正式品種名で米國産のものをオロブランコ (oroblanco)、商標名でイスラエル産のものを
スウィーティー (sweetie) と稱するやうであります。苦みが殆ど無く酸味も控へめ、甘みが
勝つてゐて食べやすい。日本では此のスウィーティーが11月末から2月末まで出廻り、東京
では中規模のスーパーマーケットならたいてい入手出來ます。此の邊でも大型スーパーには
入荷があり、私は毎年、2月の末になると大量に買ひ込み、毎日半個ほど食しますが、昨日
最後の半個を食べてしまつたので、今年は此れが食べ納め、もう食することが叶ひません。
たゞ文旦の味と舌觸りが大そう近く、幸ひ其の文旦を箱買ひしたといふ當地の友人Nさんが
差し入れて下さつたので、今は其れで喉を潤してをります。
 スウィーティー

文旦


【春の兆し】
 朝晩は未だまだ寒氣が嚴しく、未明には外氣温が零度を下廻りますが、其れでも晝は10度を
超える日もあり、蕗の薹や福壽草、また山茱萸サンシュユ)や梅が咲き始めました。でも、
櫻の開花は來月10日前後の由、關東甲信越の中では北信濃がいちばん寒いやうであります。
 蕗の薹

西洋苧環