『江戸奇談怪談集』

 2年ぶりに新刊が出ました。怪談雜誌『幽』編集長の東雅夫さん、国書刊行会編集長の礒崎純一さん、此のお二人の仲立ちを得て筑摩書房の《ちくま学芸文庫》より表記のアンソロジーを刊行する事が出來ました。是は1995−96年に国書刊行会から三巻本として出た【日本古典文学幻想コレクション】の第一巻『奇談』の江戸期のものと第三巻『怪談』を併せて一冊としたものですが、これ以外に、その後に需められて譯出したもの、たとへば国書刊行会の【書物の王国】シリーズに載せた「平田本 稻生物怪録」、『夜窓鬼談』の「茨城智雄」、『雲根志』の抄譯なども加へて新たに編輯したものであります。
 校閲や改訂に當たらねばならぬ時期に引越が重なり、また病に臥したりでちよつと辛い思ひをしたのですが、町田さおりさんをはじめ編輯部の方々が註釋の是非やルビの音訓を逐一檢討して下さつたので、誤り少なき590頁の大冊に仕上がつたと自負してをります。出足はまづまづ好調の由、また柴田是眞の繪を用ゐた間村俊一さんの裝幀も好評で何よりです。千曲市に轉居して最初に出た本の版元が信州由縁の筑摩書房(創業者が長野出身)であることにも奇縁を感じます。(11月7日刊行、定價:1700圓+税)

江戸奇談怪談集 (ちくま学芸文庫)

江戸奇談怪談集 (ちくま学芸文庫)