書籍
讀書能力が衰へてゐる……と數年前から自覺してをります。 ものにも由りますが、一冊讀む所要時間が三倍ぐらゐになつてゐるやうな氣がします。 此の先讀み得る冊數も限られてきますので、讀み返したく思ふものを幾通りかに括つて 臨むことにしました(大袈裟な…
G・K・チェスタートン/南條竹則『奇商クラブ』 創元推理文庫 『筒井康隆展』圖録 世田谷文学館 「幽」yoo1/vol.30 KADOKAWA
體調は相變らずで、天候によつては一日中横臥してをります。 讀書も一冊讀み了へるのに、若かりし頃の數倍かゝります。 いたゞいた本の紹介も半年餘り怠つてをりまして、忸怩たる思ひであります。 すべては紹介出來ませんが、四月以降撰り分けておいたものを…
岡本かの子(1889-1939):短篇「渾沌未分」 圓地文子(1905-86):長篇『なまみこ物語』 森茉莉(1903-87):中篇「枯葉の寢床」 萩原葉子(1920-2005):短篇「束の間の午後」 杉本苑子(1925-2017):短篇「珠の段」 河野多恵子(1926-2015):短篇「劇場…
過ぐる3月末に国書刊行会の《新編日本幻想文学集成9 鴎外の系譜》が刊行されました。 中島敦(矢川澄子編)、神西清(池内紀編)、石川淳(池内紀編)、芥川龍之介(橋本治 編)、森鴎外(須永朝彦編)の五作家を収録、第一囘配本が2016年6月でしたから1…
★G・K・チェスタトン/南條竹則譯『ポンド氏の逆説』 創元推理文庫 光文社古典新訳文庫『木曜日だった男』、創元推理文庫『詩人と狂人たち』に續いての新譯、 また南條さんの譯でチェスタトンが讀めるのは寔に嬉しき限りであります。中村保男譯か福田 恆存…
版が絶えてゐたシモンさんの講談社現代新書『人形作家』(2002年)が裝ひも新たに中公 文庫から復刊されました。巻末に〈新しいはじまり〉と題して其の後の15年のことが追補され, 寫眞も數點添えへられてゐます。 また、來(きた)る16日(土)に武藏大學圖…
『「青年の国」ドイツとトーマス・マン』福元圭太:九州大学出版会 第一部 「ドイツ青年運動」と文学 第二部 トーマス・マンとハンス・ブリューアー 第三部 同性愛と政治のディスクルス「青年の国」ドイツとトーマス・マン―20世紀初頭のドイツにおける男性同盟…
『新編日本幻想文学集成6 幻妖メルヘン集』国書刊行会 宮沢賢治:別役実 編 小川未明:池内紀 編 牧野信一:種村季弘 編 坂口安吾:富士川義之 編新編日本幻想文学集成 第6巻作者: 宮沢賢治,小川未明,牧野信一,坂口安吾,別役実,池内紀,種村季弘,富士川義之…
『完訳 エリア随筆Ⅳ 続篇』チャールズ・ラム/南條竹則譯:国書刊行会 まづは、完訳おめでたう存じます。南條さんの譯文はもとより、藤巻明さんの評釋に 敬意を表します。往昔、高校の圖書館から岩波文庫版を借り出したことがありますが、 譯文に受け容れ難…
昨日、自轉車にて走行中轉んで右手拇(おやゆび)を負傷、数針縫ひました。 コンビニ駐車場と歩道を區切る縁石に気づかず乘り上げてしまつたのです。其の邊に縁石が あることは承知してゐましたが、午前の強い陽がそゝいでゐて地表全體が白つぽく映り境目が …
★新編日本幻想文学集成 第五巻『大正夢幻派』 国書刊行会 此の集成も真央(まんなか)の配本となりました。 収める作家は江戸川乱歩・佐藤春夫・宇野浩二・稲垣足穂、 私は佐藤春夫集を擔當、「指紋」「月かげ」「青白い熱情」「形影問答」 「薔薇を戀する話…
★菅原多喜夫『四谷シモン ベルメールへの旅』 愛育出版 三十數年來の友人菅原多喜夫さんの處女出版です。 2010年秋に波蘭(ポーランド)のカトヴィツェ(シモンさんが時空を超えて師と 仰ぐハンス・ベルメールの生地)にて開催された《四谷シモンと友人たち…
《受贈本紹介》『松山俊太郎 蓮の宇宙』太田出版 松山さんの遺著とも申すべき此の大冊が丹羽蒼一郎さん(松山さんの最期を 看取られた方)から送られて來たのは葉月の末頃でありました。 まつたく思ひもかけぬことにて、まづ吃驚、そして恐縮かつ感謝の念に…
長らく絶版になつてゐた郡司先生晩年の名著『鶴屋南北』(中公新書)が出版書肆を 變へて、此のたび講談社学術文庫より裝ひも新たに刊行されました。 国立劇場等に於て『櫻姫東文章』1,『阿國御前化粧鏡(おくにごぜんけしょうのすが たみ)』2,『盟三五大切…
久しぶりに短歌に就いて記しました。 題して「歌文半世紀〜幻の夢をうつゝに見る人は☆序章」 イケメン特集の時に聲をかけて下さつた、それこそイケメン藝能人のやうな お名前の明石陽介さんから「須永さまご自身のご経験としての短歌と時代との 関係、そこか…
頂戴した書籍はもつと澤山あつたと思ふのですが、何處に隱れたのか、 見つかりません。 取り敢へず、目についたものだけでも紹介しておきます。★ヴァーノン・リー幻想小説集『教皇ヒュアキントス』中野善夫:譯*国書刊行会 一年以上も前のものなので、最早…
国書刊行会の【新編日本幻想文学集成】が愈々刊行開始を迎へ、明日第一巻 「幻戯の時空」が配本されます。 安部公房集☆編集解説:安藤礼二 倉橋由美子集☆編集解説:山尾悠子 中井英夫集☆編集解説:高原英理 日影丈吉集☆編集解説:諏訪哲史 裝畫:梅木英治 裝…
The Flying Carpet:Viktor Vasnetsov, 1880 Tristan and Isolde:Edmund Blair Leighton Lorenzo and Isabella(detail):John Everett Millais, 1849 The Kiss of the Oceans:postcard from 1923 Madonna della Vittoria(detail):Andrea Mantegna The Foo…
本日届いた国書刊行会からの宅配便の中に《新編日本幻想文学集成》の内容見本と 南條竹則さんの譯著『エリア随筆Ⅲ 続篇[上]』が入つてをりました。 新集成の内容見本はB5判20頁の豪華版(!?)であります。皆さま、是非お取り 寄せのほどを。『エリア随…
一昨日、曽根睦子さん(人形作家・畫家)と村上佳子さん(郡司正勝先生のお孃さん)がお出で下さいました。四月、上京した折にお會ひして以來ですから半年ぶりです。 午前9時前、しなの鐵道千曲驛にてお迎へしました。お二人とも愛猫家、外泊する譯にはゆか…
既に御存じの方もいらつしやると思ひますが、津原泰水さんと金子修さんの盡力に成る『金子國義 あなたは美しい』が河出書房新社から刊行されました。此のお二人の對談、また若かりし日の金子さんをよく知る宇野亞喜良氏と四谷シモンさんの對談をはじめ、由縁…
不世出の畫家金子國義がこよなく愛した人々(親族・知友・俳優・舞踊家・畫家・寫眞家)・繪畫・寫眞・映畫・舞臺などに就いて語り盡した自傳。厖大な蒐集品から撰び抜かれた美しきものたちの畫像が澤山収められてゐます。裝幀も御自身が手がけていらつしや…
《VERGITTERTES FENSTER》Klaus Mann(1906-49) Amsrerdam:QUERIDO VERLAG N.V.,1937 クラウス・マンはトーマス・マンの長男。ホモ・セクシュアルであつたこと、また母カタリーナが猶太(ユダヤ)系であつたことなどで偏見に苦しめられ、27歳の時に獨逸を離…
春先特有の落ち着かぬ天候が續きます。そのせゐか、咽喉を痛めてしまひました。感冒ではないのですが、初中終咳き込むので何も手につきません。駐車場では白や赤紫の辛夷が咲き始めました。高遠櫻もちらほらと……。《Roland》Ernst Eckstein(1845-1908) Leipz…
☆オブライエン/南條竹則:訳『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』光文社古典新訳文庫 オブライエンは愛蘭土生まれ、20代に渡米して短篇小説家となるも、南北戰爭が勃發するや、自ら望んで北軍兵士として從軍、戰地にて傷を負ひ34歳にて夭折。南條さんの譯で…
『白鳥五衰』と題する肉筆豆本歌集を出したことがあります。最近此の本を入手なさつた国枝さんといふ方から「判讀しかねる箇所があるので教示してほしい」といふ御主旨のコメントが寄せられました。 件の歌集は折本仕立、變體假名を多用した毛筆で八首の歌が…
新暦の十五夜(太陰暦八月十五日の夜)、白露(二十四節季の一)で、候鳥の交替季でもあります。露臺の矢筈芒(ヤハズススキ)も出穂(しゆつすい)してをりますが、此れを剪るのは忍びないので、近所の藪へ調達に。まづ心當たりの近場の藪へ出向きましたが…
南條竹則『泥鰌地獄と龍虎鳳』ちくま文庫 南條さんのお書きになるものを讀んでゐると駘蕩たる氣分が萌して來て、暫し浮世の憂さを忘れます。標題に出る泥鰌地獄は料理名であります。 〈鍋に水を入れ、生きた泥鰌(どじょう)と豆腐を一緒に入れて、火にかけ…
大濱普美子『たけこのぞう』 帶に〈日常のなかに仄めく幽かな異界との交流〉〈夢と現、幻視と写実が交錯する、無気味で不思議な味わいの幻想譚6篇を収録〉とありますが、概ね頷ける惹句であります。 「猫の木のある庭」「フラオ・ローゼンバウムの靴」「盂…