神無月も半ばを過ぎて……茸など

 この邊りでは、今でも山に入つて茸を採る風習が殘つてゐるやうです。一週間ほど前には地元のA・COOP(農協の出店)で地産の茸の展示会が催され、百種に及ぶ茸が並べられましたが、私などが知る茸はほんの僅かで大方は初めて聞く名稱でした。此れは即賣會ではなく飽くまでも展示會、自ら採集した茸に中(あた)る事件が時折起こるらしく、左樣な中毒被害に罹らぬやう、食し得る地産の茸を一同に集めて展示、人々の注意を換気する催しなのであります。食用茸と間違はれる毒茸が多種ある由、左樣なれば其の毒茸も並べて展示すれば、なほ有益なのに……と此れは去り際に呟いた私の獨り言。
 ときに我が友Mr.Vermilionも茸狩りがお好きで、ひたすらなる狩りの樣子は昨秋具(つぶさ)に見てをります。茸の季節になると氣もそゞろとなり、降雨が待たれてならない御樣子であります。此の秋、當地は乾き氣味に過ぎたのですが、一週間ほど前に漸く幾許かの降雨あり、此れを受けて早速山に入つて花猪口(ハナヰグチ、當地の呼稱はジゴボウ。落葉松の根元に生える由)を採集、私は同行しませんでしたが、お裾分けには與かりました。茄子や竹輪などと醤油味の煮びたしにして、Mr.Vermilionとの酒盛りの際にジャーマンポテト擬きなどと共に此れを供しました。

花猪口

茸・茄子・竹輪の煮びたし

ジャーマンポテト擬き

 秋も末にかゝらうと申しますのに、露臺の朝顔はいまだ十數輪、朝毎に咲き續けてゐます。秋草も大方はすがれかゝつて近場での調達が難しくなつてきましたが、用水路端で綿菅(ワタスゲ)に似た稻科の草本を見つけたので活けてみました。